
プロペラファンからシロッコファンへの交換のポイントと注意点
—— 機能・見た目・工事内容まで、全体像を把握して選ぶ
まず最初に。なぜシロッコファンが必要なのか?
プロペラファンは、後ろがすぐ外の空間につながっている「外壁直結」の構造が前提です。つまり、壁に直接取り付けて排気するため、マンションなどダクト配管が必要な環境には設置できません。

プロペラファンの開口をダクトに変更する部材

一方、シロッコファンはダクトを通して排気するため、建物の構造に左右されず柔軟に設置できるのが最大の利点です。特にマンションなどで「外壁に面していないキッチン」に換気扇を設置するために開発された経緯があります。
ただし、シロッコファンの構造には導入前に理解しておくべき注意点もあります。
シロッコファンへ交換時の注意点①:風量は下がる
シロッコファンは「ダクトを通す」構造のため、プロペラファンに比べて風量が落ちやすいという特性があります。これはファンの構造上避けられない事実です。
実際の風量比較
タイプ | メーカー・型番 | 最大風量 | 騒音レベル |
---|---|---|---|
プロペラファン | 富士工業 FVMシリーズ | 約800㎥/h | 約40dB |
シロッコファン(薄型スマート) | リンナイ OGR-REC-APシリーズ | 約420㎥/h | 約48dB |
👉 風量が約半分になることもあります。さらに、ダクトが長い/曲がりが多い場合は、排気効率がさらに低下します。
「吸い込みが弱くなった」「煙がこもる」といった声の多くは、この風量差を理解せずに交換したことが原因です。
シロッコファンへ交換時の注意点②:開口位置が異なる
プロペラファンは「壁の低い位置」に四角い穴を開けて取り付けられていることが多く、一方シロッコファンは「中央や上部」に丸い排気口を持つことがほとんどです。
この違いにより、交換時に以下の工事が必要になる場合があります。
必要となる可能性のある追加工事
- 既存の四角穴を塞ぐ
- 新たに丸穴を開け直す
- 外部の排気フード位置調整(必要に応じて)
👉 現在の開口位置と新しい機種の排気位置が一致するか?最初の段階で必ず確認しておくべきです。
シロッコファンへ交換時の注意点③:機能部の高さに注意
シロッコファンは機種ごとに「機能部(ファン・モーター部)」の高さが異なります。この高さが大きいと、既存の排気穴と干渉してしまい排気できないという問題が発生します。
この場合も、前述と同様に新たな開口工事が必要になります。
✅ 機能部の高さが低く・薄型のモデルを選ぶことで、既存の開口部を活かし、工事を最小限に抑えることが可能です。
(例:リンナイ OGRシリーズ、パナソニック FY-75DED3など)
シロッコファンへ交換時の注意点④:頭上にも注意が必要
スマートタイプレンジフードは、機能部の高さが低い商品が多いため、頭上にも注意が必要です。【要注意】レンジフードの形状を変えて交換する際の落とし穴と対策 で詳しく説明していますのでご覧ください。

プロペラファンレンジフードから同じプロペラファンレンジフードへの交換のポイント
シロッコへの交換を説明してまいりましたが、プロペラファンレンジフードから同じプロペラファンレンジフードへの交換ももちろん可能です。以下にポイントをご説明します。
内部換気扇の高さに注意が必要
プロペラタイプのレンジフードは、本体内部に換気扇が設置されています。
この換気扇の位置(高さ)が低い商品では、新しい機種に交換する際にフィルターや照明と干渉する場合があります。
その場合、設置高さを下げざるを得なくなり、選べる機種も限られてしまいます。
実例:サンウェーブ(現LIXIL)SV-614
SV-614は内部の換気扇位置が低いため、現在販売されている一般的なプロペラタイプに交換しようとすると、フィルターや照明に当たってしまい、設置できないケースがあります。
このような製品を交換する場合は、対応できる機種が限定されます。
👉 該当する機種をお使いの場合は、事前に専門店へご相談ください。
換気扇タイプの換気扇の高さが低い場合

左の画像(SV-614)は内部に設置されている換気扇の高さが右の商品に比べて低いのが分かります。この状態ですと新しい商品に交換した際にフィルター部分に当たってしまい全体を下げる事になります。
- 換気扇のフィルターに当たる場合があります。
上記はサンウェーブ社(現LIXIL)のSV-614という製品になりますが、換気扇の位置が低く設定されている商品です。この様な商品の場合現在販売されているプロペラタイプに交換しようとした場合、図のようにフィルターや照明等に当たってしまい設置が出来ません。そのため機種が限定されますので詳しくは当店までお問い合わせください。
プロペラファンからスマートタイプ(シロッコファン)に交換するメリット
プロペラファンには「設置条件がシビア」「風量が落ちやすい」といった制約があります。
それでもあえてスマートタイプ(シロッコファン)に交換するのは、次のような大きなメリットがあるからです。

主なメリット
デザイン性
薄型・フラットデザインで、キッチンがスッキリ見える。リフォーム効果が高い。
高機能モデルが多い
コンロ連動、タイマー、自動運転など、最新機能を搭載した商品が選べる。
お手入れが簡単
フィルターレス構造や整流板の採用で、油汚れの掃除がしやすい。
安定した排気性能
外風の影響を受けにくく、逆流やニオイ戻りが少ない。
こんな人におすすめ
- 古いプロペラファンから一新して、キッチンを現代的にしたい人
- 掃除の手間を減らしたい人
- 機能性や利便性を重視する人
まとめ
プロペラファンからシロッコファンへの交換は、単なる「付け替え」ではなく、構造や風量・排気効率・開口位置までを考慮したプランニングが必須です。
- 見た目や機能性は大幅にアップ
- ただし、風量や工事面では注意点も多い
👉 工事をスムーズに進めるには、機能部の高さが低いモデルを選ぶことと、事前の開口位置の確認が最重要です。